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ヨークベニマルがつくりたい明日

Special Contents ヨークベニマルの店舗づくりを追う02 横塚店デイリー部門の年末商戦期のイベント戦略

全員の力を一つにして、地域に元気を。
2019年のフィナーレ、年末商戦イベントが動き出した。

お客様の生活に密着したイベントは、販売拡大のチャンスを掴み、お店の価値を持続的に高めていくための欠かせないアクセントとなる。
その中でも最重要と位置づけされているのが年末の商戦だ。
ヨークベニマルの旗艦店である横塚店における2019年の取り組みを紹介しよう。

Profile
  • ヨークベニマル横塚店 店長 小島 純秀(中央) 1985年入社

    衣料品部門を中心にキャリアを重ね、2005年、店長に。横塚店は店長として6つ目となる店舗。数あるヨークベニマルの店長の中でも“マスター”の称号を持つ一人である。

    ※インタビュー内容は取材時のものです。

  • ヨークベニマル横塚店 デイリー部門 マスター 鈴木 大輔(左) 2010年入社

    各店のデイリー部門で経験を積み、入社4年目にマネジャーに。横塚店では小島同様、マネジャーの中でも“マスター”の称号を持ち、デイリー部門を統括する。店長の小島が厚い信頼を寄せるマスターの一人。

    ※インタビュー内容は取材時のものです。

  • ヨークベニマル横塚店 デイリー部門 穂積 佑太(右) 2017年入社

    入社以来デイリー部門で経験を積む。2019年の年末商戦は同じ郡山市の日和田店にいた。2020年2月、横塚店へ。鈴木は、入社して最初の店舗で出会った初めての上司でもある。

    ※インタビュー内容は取材時のものです。

2019年11月、最大のイベント、
年末商戦に向けての企画が動きはじめた。

初売り、節分、バレンタインデー、ひな祭り、ホワイトデー、春分の日、新生活・新入学……。人びとの暮らしに密着したイベントは、スーパーマーケットの店づくりにおいて欠かすことのできないアクセントだ。またそれは、販売拡大の絶好のチャンスであり、店舗の個性を打ち出し、その価値を持続的に高めていくための鍵を握る取り組みでもある。さらにヨークベニマルでは、「いち・に・さんの市」「ど真ん中市」など、毎月定例となる特売イベントも並行して行っている。これらのイベントが集中する年末は、まさに1年のフィナーレにふさわしい最重要の商戦期となる。

ヨークベニマルのイベント商戦では、まず本部において各売場ごとの方針や特売品などの施策が練り上げられる。それらをベースに、各店舗がそれぞれの商圏の特性やお客様のニーズにあわせて独自のイベントを企画するというのが大きな流れである。
ヨークベニマル横塚店は、福島県郡山市のほぼ中心部、JR郡山駅の東側に位置する。店舗規模・売上ともにトップクラス。200を超えるヨークベニマルの店舗の先頭に立つ旗艦店である。
秋も深まる2019年11月、いよいよ最大のイベント、年末商戦に向けての企画が動きはじめた。

ヨークベニマルとして、
町を元気づけることはできないものか?

横塚店の店長、小島には毎日ルーティンとしている行動がある。
午後になると必ず1時間ほど自分でクルマを運転して、周辺の競合店や町の様子、人の動きを見てまわるのだ。こうして肌感覚で集める生の情報が、小島の店長としての判断基準のベースになっている。その小島の顔色はこのところずっと曇ったままだ。
2019年10月、日本列島に上陸した台風19号は郡山市に甚大な被害をもたらした。横塚店の周辺地域では大規模な水害が発生し、年末が近づく11月になってもその傷跡は生々しいままだった。

そのような町の姿を毎日見ているうちに、小島の中である想いが少しずつ形になってきた。
「ヨークベニマルとして、何か町を元気づけることができないものか?」
そしてこの想いが、横塚店が全店をあげてチャレンジする年末商戦イベントのテーマとなっていくのである。小島は、「地元の復活」をキーワードとした方針を打ち出した。それらを売場で表現していくのは、各部門を担うマスターたちの役割だ。

周辺には幹線道路が走り、飲食店や商業施設が立ち並ぶ、郡山市の中心部に位置している横塚店は、ヨークベニマルの中でも売上1位を誇る店舗だ。

人気アイスクリームメーカーとタイアップした
かつてない大規模のイベントを企画する。

「三春町の商品を年末イベントのフックにしようと考えているのだが、どうかな?」
「面白そうですね。すぐに交渉してみます。ところで、私からも一つ相談があるのですが……」
小島が年末商戦の一つの目玉としてあたためていたのが、郡山市に隣接する三春町にある老舗店の豆腐商品、いわゆる油揚げだ。
小島のその提案に対して二つ返事で答えたのは、イベント商戦では常に中心となる売場、デイリー部門を担うマスターの鈴木である。
10月中旬、各店舗のマネジャーをはじめ全社のデイリー部門関係者が本部に集結した。年末商戦へのキックオフとなるミーティングだ。

鈴木は11月に入ると、全社で決められた戦略と横塚店独自の取り組みを合体させ、具体的な準備に取りかかった。メンバーさんをはじめ部門の従業員に方針を伝え、年末の勤務シフトを決めるなど体制を整え、商品の発注などを進めた。
さらに鈴木は年末商戦に対して独自のプランを温めていた。昨年のゴールデンウィーク、冷凍食品売場で某メーカーの人気高級アイスクリームのキャンペーンを展開して予想以上の手応えを得ていた。その企画をさらにパワーアップさせて、真冬の年末イベントにぶつけようと考えていたのだ。人気メーカーとタイアップしたこれほどの大規模イベントを実施できる店舗は東北でも数少ない。ヨークベニマルの旗艦店である横塚店ならではの大胆な企画だ。

売場に集まる家族たちの笑顔を見て
イベントの醍醐味とやりがいを実感した。

2019年12月15日、ヨークベニマル横塚店の年末商戦の幕が切って落とされた。通常、年末商戦は22日あたりからクリスマスキャンペーンがはじまり、それが落ち着く28日から年末年始に向けた企画を展開していく。2019年、横塚店ではこれら年末商戦を加速させるために、その1週間前に独自のイベントを実施した。鈴木が企画した人気高級アイスクリームのキャンペーンだ。
「ほうっ、これはすごいな」
12月15日の開店前、冷凍食品売場に足を運んだ小島は思わず声をあげた。広いスペースの冷凍食品売場が、人気高級アイスクリームほぼ一色に演出されていた。3か所に特設ブースが設けられ、試食やプレゼント抽選会の準備が進められている。

事前にプランを確認していたが、実際に売場ができあがってみると想像以上のスケール。最後のチェックに追われる鈴木の顔も心持ち緊張しているようだ。
こうしてスタートした横塚店の年末商戦は上々の滑り出しとなった。特設のアイスクリームコーナーにお客様が集まり、時には人の流れが滞るほどだった。プレゼントを手に喜ぶ子どもの笑顔に誘われるように、お母さんたちは次々とアイスクリームをカートに入れた。そんな家族の姿を見ていて、鈴木の緊張も解けてきた。鈴木にとって、お客様の笑顔を見ることがこの仕事の醍醐味であり、なにものにも代えがたいやりがいなのだ。

大胆にも人気高級アイスクリーム一色に染め上げた冷凍食品売場。

前年を超える、トップクラスの売上を達成。
余韻が残る店内で心地よい正月気分を味わった。

12月28日、ラストスパートとなる年末企画がはじまった。それまでケーキやチキンなど「洋」が目立った売場の主役は正月の食材など「和」へと切り替わり、年末の気分を盛り上げる。その大きなアクセントになったのが、店長の小島が仕掛けた地産の商品たちである。
入口すぐ近くのスペースに、地域の復興を願って特設コーナーが設けられた。主役はいうまでもない、地元老舗店の油揚げ。同じく地元酒蔵の地酒も用意された。お店のメンバーさんたちの協力で集めた地元の祭り道具や郷土玩具を飾り、手作りで演出を行った。
デイリー売場では、同じく地元乳業メーカーのカフェオレの特売コーナーが用意された。郡山市民にとってソウルフードともいえる商品。

郡山市では、年末は帰省してくる人たちも多い。懐かしい故郷の味を思い出してもらおうという鈴木の粋なアイデアだ。
このような工夫や話題づくりが功を奏して店内は活気にあふれ、瞬く間に慌ただしい時間が過ぎた。12月31日午後8時。ヨークベニマル横塚店は2019年の営業を終えた。
翌2020年1月1日、小島は初売りで店にやってくると、すぐにパソコンを立ち上げて昨日の売上をチェックした。スーパーマーケットの業界では、大晦日の売上はその年の集大成、1年分の通信簿ともいわれる。さて、その結果は……。実質的に前年を上回り、ヨークベニマル全店でもトップクラス。小島は、ゆるゆると肩の力が抜けて、年末の余韻が残る店内で心地よい正月の気分を味わった。

年末企画の目玉商品であった、地元乳業メーカーの特設コーナー(左)と、三春町の特設コーナー(右)。

一人のお客様に誠実を尽くす。
そしてまた、若く新しい挑戦がはじまる。

さて、この物語の最後に一人の若手社員を紹介しよう。入社4年目の穂積だ。彼は2019年の年末商戦を同じ郡山市にある日和田店のデイリー部門で経験した。そして年が明けた2020年2月、横塚店へと移ってきた。精鋭が集う旗艦店への異動を知らされた時、期待と緊張が入り交じった気持ちだったという。
実は、デイリー部門を率いるマスターの鈴木は、穂積が入社して店舗に配属されて最初に出会った上司でもあったのだ。
「あれから4年間の経験を積み、また鈴木さんと一緒に仕事をするようになって改めてそのすごさを実感しました。一つの決断をする時、瞬時にそのずっと先の戦略まで見通しているのです。

それは店長の小島さんも同じ。横塚店では毎日が刺激的で学ぶことばかりです」
そんな穂積の姿を見ながら、店長の小島は語る。
「一人のお客様に誠実を尽くすためには、従業員一人ひとりが自分が店長になったつもりでお客様に接しなければなりません。それが自らの成長に結びついていくのです。そして、そのための最高の舞台がイベント商戦なのだと思っています」
これから穂積は、小島や鈴木の背中を見ながら、少しずつ売場を自分の色に染めていくのだろう。やがて2020年の年末商戦の企画が動き出す。若く新しい挑戦がはじまろうとしている。